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ねぇ、承太郎。 僕は君と共に過ごせたこの数十日の日々が本当に愛おしくて仕方がないんだ。 初めての友人、仲間、そして君という恋人を手に入れた。 僕には一生手に入らないと諦めていたのにね。 両親には悪いことをしたと思う。 何も言わずに日本を出たきり、一度も連絡を取らずに死んでしまったんだから。 でも、後悔はしていないよ。 毎日が楽しくて、モノクロだった世界や、信じられなかった言葉を全身で感じることができた。 君と家族にはすまないが幸せな人生だったよ。 本当のことを言えば、これから先も、ジョースターさんのような歳になってもずっと君と居て色々なことを体験したかった。 老衰で死ぬまで君と愛し合ってのんびり生きたかった。 でも君のために僕が出来るだけのことをして、君より先に死ぬことが出来て、君は世界を救ってくれた。 僕にはこれ以上のことは何も望めない。だってそうだろう? ちゃんと目的を果たしたんだ。 後追い自殺はやめてくれよ? 僕の亡骸は両親に届けてほしい。 君が気に病むことは無いんだけれど、ぼくが謝っていたって伝えてほしいんだ。 覚えているだろう?僕があの夜、君に言ったこと。 君は「もしもでもそんな話をするな。」って怒っていたけれど、僕は十分本気だった。大真面目さ。 『もしも僕が死んだら両親に伝えてほしいことがあるんだ。「ごめんなさい」と「ありがとう」と「愛していました」って。』 僕は今まで両親を愛してなんかいなかった。 それなりに大切な存在ではあったけれど、所詮彼らにスタンドは見えないし分かりあえるはずがないと思っていたからね。 それに彼らも僕のことを大事にしてくれたけれど理解できないって顔をされたりもした。 だけど君を愛するようになって、そして君に愛されるようになってようやく僕は本当の意味での「愛する」ってことを知ったんだ。 ありがとう、承太郎。 僕は君に廻り逢えて本当に嬉しい。 なぁ、最後に僕の我が儘を聞いてくれないか? 君はどうか家族を持ってほしい。 残酷なことを言っていると思うかい? でも君にはきっと必要だ。奥さんとか子供とかね。 守るべきものがある君は強い。 君は優しいから、きっとアヴドゥルさんやイギー、そして僕のことに責任を感じて生きて行くんだろう。 だからこそ、君の傍でそっと静かに、だけどしっかりと支えてくれるひとが必要なんだ。 きっと君の子供のことだ。カッコイイ子が育つに違いないよ。 息子だったら君そっくりの男らしい不良になるんだろう。 娘だったら十中八九、君は親バカになるだろうね。 ごめんよ。辛い過去を君に残してしまって。 でも僕らが出逢って愛し合ったことを忘れずにいてくれ。 僕は一足先にあの世へ行くよ。 転生なんかせずに君が来るのを待ってる。 ずっとずっと、君が老いて死ぬまでずうっとね。 そして来世こそ二人で生きるんだ。 いわゆる普通で、平凡で、少し物足りないくらいの退屈ともいえる人生をね。 愛してる、愛してるッ、愛してるよ承太郎!! 君以外にはほかに何もいらない。 この苦しいほどの僕の想いがきっと君を守る。 だからほら、いつもの少し偉そうで自信に満ちた顔を見せてくれ。 次に会うまで少しの間お別れだ。 最後に君に伝えたい三つの言葉。 「ありがとう」「愛しています」「待ってるから」 |